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テ・ジョヨン26回目

寺の外にテ・ジョヨンがいる。
隠れているチョリンは、必死で痛みをこらえている。

コルサビウが、テ・ジョヨンに近づく。
「おい、捕虜が口を割った。ブ大臣を捕まえるようだ。緊急事態だ。早く行こう。(兵士に向かって)すぐに帰るぞ」
「はい」

中で祈祷中のスギョンが物音に気づく。
近寄って見ると、チョリンが倒れる。

太学。
「黒幕が明らかになった。迷う事はない、すぐにブ大臣一派を捕らえましょう」
ナムセン「落ち着け。私はこの機を転禍為福のきっかけにしたい」
「どういう意味です?」
「私を殺そうとしたのは、国の権力を狙ったも同然だ。すなわち謀反だ。この機にナムゴンだけでなく、ブ大臣や貴族たちをひざまずかせてやる」
「貴族大臣全員をですか?」
「さよう、チ将軍とコム将軍は、兵を率いて、貴族や大臣の住む東村へ行き、ケジンとソンギョムを軟禁せよ」
「はい」
「オン将軍とイ将軍は、サブクの守備隊を掌握せよ」
「承知しました」
「ブ・ギウォン邸へは、私が直接行く。夜明けまでに全貴族大臣邸を。手中に収めるのだ」
「承知しました。太大兄」

兵士が門を開けてなだれ込む。
テ・ジョヨン、ナムセンも。
「褥薩(ヨクサル)ブ・ギウォンとナムゴンを連れて来い」
「承知しました。皆行くぞ」
「はい」

ブ・ギウォンとシン・ソンが、部屋の中にいる。
フクスドルが入る。
「失礼する。我が主人の太大兄が、大臣の連行を命じました。痛い目に遭う前に、ご自分でどうぞ」
ブ・ギウォンは、いぶかしげに立ち上がる。
「連れて行け」
「はい」

ナムセン、テ・ジョヨンたちがいる。
ブ・ギウォンたちが連れてこられる。
「ナムゴンはどこだ?」
「知りません」
「知らん? ナムゴンに私を殺させようとしたな」
「太大兄を殺そうとしたのも、今知りました」
「黙れ。これは、国の紀綱に関わる謀反だ。その黒幕を明らかにして、処断してくれる」「そう言うなら、私からお殺し下さい。私一人のせいで、皆に迷惑はかけられません。早く私を殺して、五部家への弾圧をやめなさい」
声「なりません、こら、放せ、なりません、決して…、なりません」
ケジンたちが連行される。
ケジン「なりませんぞ。この度のことは、ブ大臣だけの咎ではなく、我ら臣下全員が、ナムゴンに騙されていたのです」
「殺すなら、皆一緒に死にます。ブ大臣一人を死なせられません」
「お許し下さい」
「お許し下さい」
「やめい、もういい、軍を率いて来る間―ー、国の害でしかない臣下を、皆殺すつもりだった。だが今、父上の残した遺言を思い出した。高句麗が外敵を防げたのは、皆が協力して和合したからだ。内紛こそが、亡国への道だと言われた。私は皆を許そう。今、我らは和合すべきだからだ。だが、これは、忘れるな。そなたらを助けたのは、あれほど忌み嫌った父上のヨン・ゲソムンだ」
ブ「大莫離支、我らをお許し下さい」
「お許し下さい」

テ・ジョヨンとコルサビウ。
コム将軍が来る。
コム将軍「事が変な方向に進んでいる。皆がナムセン様に忠誠を誓っている」
コルサビウ「暗殺の黒幕は、彼らです」
「太大兄はそう思ってない。この機会に和解したいようだ」
「どうも変です。大莫離支にも従わなかった彼らが…、」
フクスドル「(やってきて)コム師範、あの、今すぐにでも戦いそうな勢いだったのに、どうなったのです? もしや心当たりでも?」
コム「先に入るぞ(戻る)」
フクスドル「あの…(コムのあとを追いかけるが、テ・ジョヨンのほうに振り向いて)、おい、どう考えても怪しいだろう?」
テ・ジョヨン「警備を頼むぞ(行ってしまう)」
フクスドル「おい…、(コルサビウのほうを向いて)おい、コルサビウ、俺の考えでは」コルサビウも行ってしまう。
フクスドル「おい…、野郎どもめ…何か臭ったのか?(自分を嗅ぐ)むかつく(笑い声がして、そのほうを向く)」

ナムセンを囲んで、臣下たちが笑っている。
ナムセン「よいお話をたくさん伺った」
「我らも太大兄のご高説に感服いたしました」
ケジン「文武大臣らが集まって会議するのは、実に久しぶりです。この年寄りは感無量ですぞ」
オン・サムン「すべては、太大兄が水に流してくれたからです」
ブ「さようです」
イ・ギウ「我らも太大兄の包容力に驚きました」
チ・ミョンチョン「大臣たちもこの場を忘れないように」
「忘れませんとも。今から、我が五部家臣下は、太大兄に忠誠を誓います」
「文武が和合してこそ、国がうまく行くのだ、力添えを頼む。このヨン・ナムセンが、唐を倒し、父上の夢を果たして見せよう」
サブクの微妙な顔、シン・ホンの顔、シン・ソンの顔、シン・ホンが目で頷く。
声「褥薩(ヨクサル)様」サブクが来る。
「皆帰ったか?」
サブク「はい」
ブ「今すぐナムゴン様のところへ行け。ここの事情を知らせるのだ」
「承知しました」
シン・ソン「真の戦いはこれからです」
ブ「もちろんだ、必ずナムセンを追い出し。ナムゴンを大莫離支にする」
「そうなさいませ。国のためには、ナムセンではなく、我がナムゴン様が大莫離支になるべき」
ブ・ギウォンは、しぶとい顔で頷く。

極楽寺。
チョリンが寝ている。
起き上がろうとするが、傷をおさえて、苦しそうな顔。
スギョン「無理しないで。お坊さんが数日は動けないだろうと。災難でしたね。治るまでゆっくり休みなさい」
チョリンは、複雑な顔。

回想シーン。
「テ副将、お待ちを」
テ・ジョヨン「何かお話でも?」
スギョン「実は…、騒動の事もあって、夜が怖かったのです。それで仏様に、今夜守ってくれる人をお願いしたら、テ副将が…。夜が明けるまででも…」
「承知しました」
回想終わり。
チョリンの顔。

スギョン「キシル、祈祷が終わるまで、この方の世話を頼むわ」
「はい」
チョリン「どなた…? 見知らぬ者を助けるなんて」
キシル「この方は、高句麗の姫様です」
「高句麗の姫様…?」
「私も100日祈祷に来ました。お互い寂しいから、話し相手になりましょう」


山の中の小屋の前にイ・ヘゴたち。。
ソル・ゲドウが来る。
イ・ヘゴ「どうだ?」
ソル「警備がすごい。平壌城には入れもしなかった」
「チョリンは? 探したか?」
ソル・ゲドウ「まあ、軽く探したが…」
「軽く?」
「考えてもみろ、生きてるなら逃げたろうし、死んだなら、探しても無駄だ」
「貴様…(殴る)」
ソル「(顔の血を手で拭いて、それをみてびっくり)ひとが黙ってりゃ、殴ってばかり…(刀を抜く)」
従者が刀を抜き、ソルに突きつける。
「分かった。剣をしまう、お前も下せ」
従者「殺せと命じてください」
ソル「何だよ、お前まで」
従者、さらに剣で脅す。
イ・ヘゴ「剣をしまえ」
ソル「おい、お前、ひどいぞ。痛い目に遭いたいか?」
「黙れ。チョリン様に何かあったら、お前を殺す」
「何だと、この契丹族の奴らめ、くそっ」
サブクが兵を連れてくる。
サブク「位頭大兄は中に?」
「そうだ」
「警戒を緩めるな」
「はい」
イ・ヘゴ「平壌へ行く」
サブク「命令があるまで、おとなしくしてろ」
「時間がない、仲間の生死すら分からん」
「この苦境は、誰が招いた? お前たちが任務に失敗したからだ。何とかなりそうなのに邪魔するな。自重してろ、すぐ平壌へ行ける。いいな? (大きな声で)サブクです」
「入れ」
くやしそうなイ・ヘゴの顔。

ナムゴン「何? 兄上が臣下たちを捕らえた?」
「さようです、今、平壌城は修羅場です」
「兄上が…、兄上が何て事を」
「彼らは忠誠を誓わされました。このままでは、玉座まで狙いかねません」
「兄上…一体、兄上は、なぜ変わったのだ?」
「ナムゴン様が立ち上がる時です。民と全臣下の望みです」
「私を殺そうとするのは、許せる。だが権力に目がくらみ、国を滅ぼすのなら、それを防げる者が私だけなら、喜んで剣を抜き戦おう」
サブク「大兄(頭を下げる)」
ナムゴン「平壌の臣下に伝えろ。今、この瞬間から、高句麗の大莫離支はこのヨン・ナムゴンだ」
「はい、大莫離支」

数人の騎兵が安市城へ。
ヤン・マンチュン将軍(安市城主)「ナムセンとナムゴンが刃傷沙汰を?」
「はい、コム将軍がそう伝えてきました」
「奴ら、気は確かか? いつか国を滅ぼすぞ」
「落ち着き下さい」
「落ち着けるか、単なる兄弟げんかではない。彼らが対立すれば、国論も真っ二つになる」
テ・ジュンサン「すでに嵐が吹いた模様です」
「嵐だと?」
「太大兄が、軍を率いて、臣下全員を屈服させました」
「どういうことだ? 陛下がおわす都城で臣下を武力鎮圧だと?」
「そのようです」
「ナムセンめ、ついに…」
「でも、ある意味、大したものです」
コ・サゲ「大莫離支でも従えられなかった臣下が、太大兄に忠誠を誓うとは…」
「そうではない、ナムセンは大きな過ちを犯している」
「何がです?」
「将軍、一体何の過ちです?」
ヤン将軍は、首を横に振る。

個室で、ヤン将軍が歩き回っている。
テ将軍「(入ってきて)お呼びですか?」
「二人に平壌へ行ってもらう」
「何事です?」
「どう考えても、ナムセンの行動が引っかかる」
「平壌の情勢は、もう一段落したはずです」
「ブ・ギウォンをなめてはいかん。今は身を低くしているが、兄弟が和解せぬ限りは、ナムゴンを利用して、再び騒乱を起こす。未だ戦も収まってないのに、唐では何の動きもない。それは、我らを逐次注視しているのだ。こんな時に、兄弟げんかなど」
「我らは何をすべきです?」
「平壌へ行って、私の意を伝えよ。それでもナムセンが変わらないなら、その時は、私が直接平壌に行く。何としてでも、兄弟げんかを防ぐのだ」


ヨンジュ。
イ・ソンチュン(契丹部族長)「何? ソリンギ? ソ将軍が来た?」
「はい、可汗。しかし、本人ではありますが、様子が…」
「どうした?」
ソン・マニョン「唐で何があったのか、実に物乞いの有様です」
「物乞い?」
「はい、来るなり食事を求めたので、客室に通しました」
「天下のソリンギが物乞いの有様に?」

みすぼらしいソリンギとポンペが貪り食っている。
ソリンギ「こらこら、いい加減にして、酒でも注げ」
「はい」
「まったく…そのくらいだ、よし、極楽だな。ポンペよ、このマントウも美味いな」
ソリンギ「(驚く)可汗、その…ここに来るまで、ほとんど食べられなくて…
ポンペ「食事前なら、一緒にいかが?」
「おいこら、あっちへ行け。可汗、どうぞ、おかけに。私は、可汗に合わせる顔がない。ご存じでしょうか、私はもう将軍でも何でもない、正直に言って、私を受け入れれば、役に立つどころか、むしろ害になる。分かりました、こうして、食事ももてなされて、身に余るくらいだ。だから、この残った饅頭を食べたら、去ります。ポンペ、早く食べよう。残したら、バチが当たるぞ」
「はい、将軍」
部族長「なぜ言わなかった? 契丹を売れば、こうならずに済んだはずだ。一人で罪をかぶるなんて…なぜ契丹族のせいだと言わなかった?」
「私にとって、唐は祖国だが、母国はこの契丹だ。いくら窮しても自分を生んだ―ー母を売れるものか」
「将軍」
「祖国は、私を捨てたが、母の地では、こうして温かい食事と酒をくれた。もう望むものはない。迷惑はかけたくない。ポンペ、行くぞ」
「待たれよ。まだ、高句麗は健在だ。ヨンジュを得る契丹の夢も、ソル将軍に従う誓いも、未だ残っている。我が軍を率いて、戦って下さい。最後の一人まで、最後まで、将軍と戦いますぞ」
「我らを引き取ってください」
「私は薄幸だと思っていたが、それでも、人には恵まれてるな。ところで、イ・ヘゴから連絡は?」
部族長は首を横に振る。

イ・ヘゴが荷物をまとめている。
「平壌城へ? 」
イ・ヘゴ「しっ、声が大きい」
「今行くのは危険です」
「チョリンが無事なら、平壌城に捕まってるはずだ」
「私もお供します」
「一人のほうが安全だ、お前は奴と残れ」
「でも、副将」
「チョリンがいないなら、この私も存在しない。生きているなら必ず救う。死んだなら…」
「副将」
「彼女を死なせた奴らをすべて殺してやる。テ・ジョヨンも、ブ・ギウォンも、すべて…」

ブ「何? テ・ジュンサンが?」
「はい、着くなり、大莫離支邸へ向かいました」
「ヤン将軍も大莫離支の死を知ってるはず、では…ナムセンに会いに?」
サブク「ヤン将軍も平壌の事情は知ってるはず。当然介入しようとするでしょう」
「そうだろう」
シン・ソン「我らにとっては悪くない事です」
「なぜだ?」
「ヤン将軍の介入をナムセンは嫌っています。二人の仲は遠ざかりこそすれ、親しくはなりません。こんな良い機会はありません」
「(急に顔がほころんで)そうだ、そのとおりだ。遼東と平壌が遠ざかるほど、我らに機会ができる」


ナムセンが手紙を読んでいる。
手紙をくしゃっとまとめる。
「大将軍は心配が過ぎます」
テ将軍「過ぎません、それで国論が分裂したら…」
「それを案じて、先手を打ったのだ。五部家の大臣とも和解した」
「しかし、ナムゴン様との不和が続けば、高句麗の不安も続くでしょう」
「伝えてください。国が分裂しないよう、ナムゴンを消すと」
「和解なさい。これはヤン将軍の厳命です」
「厳命…、厳命だと? 家の恥を消す事だ。家の事を命令されるとは」
「お二人が和解なさらねば、ヤン将軍自ら平壌に来ます。その時は、この私ではなく、ヤン将軍と対峙せねばなりません。間者の報告によると、唐が戦の準備をしています。また高句麗では何年も凶作続きです。うわべは平穏でも、総体的には難局なのです。ヤン将軍を怒らせないように。今、国を心配して、気が立っておられます」


別室。
テ・ジョヨン「ヤン将軍はお元気で?」
テ将軍「相変わらずご健勝だ。お前は大丈夫か?」
「はい、父上」「そうか。ここの事情は聞いた」
「何よりもブ大臣が問題です。皆が太大兄に従うように、裏で糸を引いています」
「ナムゴン様はその後どうなった?」
「探していますが、見つかりません」
「ヤン将軍の憂慮が現実にならねばよいが」
コルサビウが来る。
「ブ大臣が太大兄に会いに来ました」
「奴が何用で?」

ブ「心配事が現実となりました」
「心配事?」
「大莫離支が亡くなったら、ヤン将軍が全権を狙うと思っていました。太大兄は大莫離支も同然です。なのに干渉するのは、太大兄を大莫離支と認めていないのです。しかも平壌へ自ら来るなんて。ヤン将軍のピョンヤン入城は防ぐべきです。大莫離支もいない今、すべてを失うかも…そうなれば、大莫離支はヤン将軍となるでしょう。遼東の狙いはそれに違いありません」
「今…私も策を練っている」
シン・ソン「一つ妙案があります」
「言ってみろ」
シン・ホンの不気味な顔。
「ヤン将軍が来る前に、太大兄が先に遼東を視察するのです」
「私が遼東の視察を?」
「大莫離支の資格で巡視するのです。相手の気勢を抑え、民には大莫離支としての威厳を示せます。それこと、一石二鳥、名分と実利を得られます」
シン・ホン「それは無理です。今は平壌を離れてはいけません。名分も実利も大事ですが、まず平壌城の基盤を固めねば」
「平壌城の軍はもちろん、大臣たちも忠誠を誓った。これ以上、何の基盤だ」
「今はまだ、砂上の楼閣です」
「砂上の楼閣? 我等の忠誠が信じられぬか? そうですか?」
「信じられません。昨日までの敵をどう信じるのです?」
「黙れ」
「いい加減にせい」
「ですが」
「もうよせ。ご意見に感謝する。よく検討して返事をしよう」
シン・ソン「感謝します。太大兄」
シン・ソンをにらむシン・ホン。シン・ソンは、勝ち誇った顔。

庭を歩くブ・ギウォンとシン・ソン。
テ・ジョヨンが来る。
ブ「しっかり仕えろ。太大兄は大莫離支になる。そう言えば、我らはもう味方だったな。そなたも私も主は太大兄だ。違うか?」
「私は、褥薩(ヨクサル)様を信じません。何を企もうとも、国を害し、正道を外れるなら、必ず私が防いでみせます」
「その気迫が気に入った、男ならそのくらいでないと」
「私の話を忘れないように」
ブの顔色が変わり、にらみ合い。

暗がり。
「兄上」
「どこへ行ったと思ったら」
「私も兄上の事が気になっていました」
シン・ソン「5年ぶりだな。だが、なぜナムセンに? 私がナムゴンと天下を取る気なのを、知っていただろうに」
シン・ホン「世の中の事は、思い通りになりません」
「皮肉な運命だな。弟は兄のナムセンに仕え、兄の私は弟のナムゴンに仕える」
「兄上でも私でも、勝った方が、大莫離支を生み出します。これも家門に残る栄光でしょう」
「ははははは、弟は相変わらずだな、ははは。ホンよ」
「はい」
「今度だけ負けてくれぬか?」
「兄上らしくもない」
「私はこの世でお前が一番怖い」
「私も兄上の知略は予想もつきません」
「どうしても、真っ向勝負は避けられぬようだ。最もも大事な弟のホンとな」
「油断は禁物です。私も死力を尽くします」
「どれ、お手並み拝見と行こうか」

テ将軍たちが馬に乗って走る。

ヤン将軍「前方視察だと?」
「確かに視察と言ったのか? 大将軍への挨拶ではなく、視察と?」
テ・ジュンサン「さようです。遼東地方を巡視するそうです」
コ・サグ「いやはや…尊大なこと、この上ない」
「平壌では、すでに大莫離支のような振る舞いでした。とても見ていられません」
「視察の意図は、遼東地方の軍事力を掌握する事です」
「間違いない、民の前で大将軍を貶め、自分を誇示するつもりだ」
「このままでは駄目です。遼東へ来たら、根性を叩き直して」
「ナムセンは次代の大莫離支に相違ない」
「将軍」
「ヨン・ゲソムンは去った。皆、それを認めるべきだ」
「しかし、不遜にもほどがあります」
「しかも、大将軍に矢を向けました。思い出すだけで、歯軋りしてしまいます」
「もうよせ。分裂を心配しておきながら、足を引っ張るのか(怒る)。ナムゴンは?」
「どこかへ身を隠しました」
「ナムセンが視察に来たら、大莫離支への礼をもって迎えろ。この機に、全権が無事ナムセンに委譲されれば、それもまた国にとっては望ましいことだ」


「なりません、撤回してください」
「もう決まった」
「平壌城を空けてはいけません。臣下を信じては駄目です」
「だから、兵を残して、単身で行くのだ。チ将軍」
「はい」
「私のいない間、イ将軍やオン将軍と共に、都城を頼む」
チ・ミョンチョン「お任せください」
オン・サムン「ですが、お供なしで、大丈夫ですか?」
「心配するな、コム将軍が一緒だ。それと、お前も残れ」
コム「テ副将こそ、遼東視察に必要です」
「命令に従え。この視察は実に意義深く重要なものだ。準備が終わり次第、出発する。皆も万全を期すように」
「はい、太大兄」
「それと、お前は極楽寺に行け。スギョン様をここに連れて来い」

スギョンが鏡を見ながら、化粧して、にっこり笑う。
そばのベッドにチョリンがいる。
スギョン「よく見ると、綺麗な顔立ちね。やってみる?」
チョリン「結構です。私などには似合いません」
「私はずっと皇室で育ったから、山野を駆け巡ったあなたが羨ましいわ。生まれ変わったら、絶対男になりたいわ」
「男に生まれたい…? もしや心に決めた人でも?」
「さあ…、テ・ジョヨンという人がいるの。まだ末端の武将だけど、高句麗を救った人よ。それに私の命も救ったわ。生まれ変わるなら、彼のような男になりたい」
「それほど好きなら、縁を結べば…」
「縁ですって?」
「目は心を表します。スギョン様の目は恋する者の目です」
「まさか…私があの方を? 余計な事を言ったわ。今の話は忘れて」
侍女が来る。
「スギョン様、お客です。テ副将です」
「テ副将が?」
「ええ、今日はお一人です」
スギョンは身なりを鏡で直し立ち上がる。
チョリンは動揺する。

外。
テ・ジョヨンが入り口付近にいて、辺りを見回している。
スギョン「(近づいて)テ副将」
「(挨拶する)お元気でしたか? ところで、侍女に聞いたのですが、負傷した女人がいるとか」
「大したことありません。それより、ここへは何用で? 私に何かお話でも?」
「太大兄がお会いしたいそうです。じきに遼東へ視察に出られます。その前にお会いしたく、お連れするようにと…」
「まだ祈祷が残っています。気をつけてとお伝え下さい。それと、いくら私が暇でも、呼びつける立場ではないはず」
「それは誤解です。私は太大兄の命令で…」
「テ副将にも失望しました、あなたほどの方が、くだらぬ使いをするとは」
「スギョン様」
「私はまだ未熟ですが、食卓に見合う器は知っています。太大兄の下にいては駄目です。国のためにもっと大きな事をしなさい。太大兄に伝えて。今日の無礼は忘れぬと。こんあ使いをするなら、あなたも現れないで」
あっけにとられるテ・ジョヨン。ふと右のほうへ目をやると、チョリンが慌てて隠れる。

ナムセンとシン・ホン。
シン・ホン「テ・ジョヨンを平壌に残したのは正解でした」
「遼東へ連れて行き、居座られても困る」
「だんな様が世を手にするまで、役に立つ人物です」
「分かっておる」
声「だんな様、私です」
「入れ」
テ・ジョヨンが来る。
「それで、スギョン様は?」
「祈祷が終わってないため、同行を拒否されました」
「そうか、私が行けばよかったな。残されても寂しく思うな。私の不在中、家をまとめる者が要るのだ」
「ご心配無用です」

平壌城下。
イ・ヘゴが歩いている。

ナムゴン「何だと? イ・ヘゴがいない?」
ソル「あの…それが…姿が見えないので、釣りかと思ったら…」
「一体、どこだ?」
ソル「そうです…ね。私だって、こいつに騙されて」
「一体、奴はどこだ?」
「平壌城です」
「何? 平壌城? こんな大事な時に…捕まれば終わりだぞ。こんな時に勝手に平壌城へ行くとは…」
声「おいでですか?」

外へ出るナムゴンたち。
サブクとお供の兵がいる。
サブク「このサブク、ナムゴン様を迎えに参りました」
「兄上は?」
「遼東へ発った頃です。早く平壌へ行きましょう。大臣たちはもちろん、大勢の兵も待っています。今すぐに、平壌を手に入れるのです。大莫離支」
ソルたちびっくり。
ナムゴン「分かった、出発しよう」

ナムセン、フクスドル、シン・ホン、コム将軍がわずかな兵を連れて、馬で行く。
物陰から、すげ傘に顔を隠しながら、イ・ヘゴが見ている。

祈祷中のスギョン。
チョリンが来る。
チョリン「もう行きます」
「まだ無理だわ」
「もう歩けます」
「立つのもやっとだわ。山を下るのは無理よ。部屋で休みなさい」
「ご心配は無用です。ありがとうございました」

寺から出てくるチョリン。
後ろを振り返り、2回手を合わせて、去ろうとする。
木の陰から、テ・ジョヨン。
チョリンびっくり。
テ・ジョヨン「間違いなく、チョリンだと思った。チョリン、チョリン」
チョリンは、逃げようとするが、気を失って倒れる。
テ・ジョヨンが駆け寄って支える。
テ・ジョヨン「チョリン、、チョリン、しっかりするんだ、目を開けてくれ、チョリン」
スギョンが出てくる。
テ・ジョヨンが後ろを見ると、スギョンと目が合う。
テ・ジョヨンは、ばつが悪そうに目をそらすが、チョリンの頬に手を当てる。





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