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テ・ジョヨン29回目

ヤン将軍が、先祖の像の前に座っている。
その後ろに、テ・ジョヨン。
「将軍、烏骨城で何が起こるのです? お話し下さい。なぜ、そう驚いて」
「ナムセンは、間違いなく烏骨城を攻める。なぜなら、西海を支配できるからだ」
「では…」
「唐軍は海から船で攻め込むはずだ。平壌を攻める前哨基地を確保するためだ。大変だ…ナムセンを捕らえるには、味方同士で血を流すことになる」
「ナムセン様は、烏骨城を武力で攻めないはずです」
「そう…そうだな、唐軍を秘密裏に迎えるには、目立ってはならん」
「我らも彼らの作戦を利用しましょう」
「そうだ、それなら味方同士の流血沙汰を避けられる」
「さようです」
「では、私の知略を信じてみるか?」
うなずくテ・ジョヨン。


テ・ジョヨンが、家の外を歩いている。
コルサビウが来る。
「テ将軍が待っておいでだ」


テ・ジュンサンを中心に一同、席についている。
「ナムセンを烏骨城で捕らえる?」
「簡単ではないだろう」
「もし、烏骨城が落ちたら…」
「ヤン将軍な、ナムセン様を生け捕る気です。流血沙汰を避ける唯一の方法です」
テ・ジュンサン「そうだろう、将軍は、彼を息子のように思っておられる」
「ナムセン様は、密かに行動するはずです、我らも気づかれぬよう、静かに行動します」「だが、二人だけでは無理だ。トルバル」
「はい」
「ム・ヨムと共に行け」
「承知しました」
「彼らも動く頃だ、出発せよ」
「はい」

ナムセンを中心とした会議。
ナムセン「今夜―-、烏骨城へ行く。我らの行動を、遼東に気づかれるな。寝静まった夜に移動する。今には猿轡をはめ、武器は布で包み、音を立てるな。肝に銘じよ。この作戦の鍵は、どれだけ、密かに動けるかだ。無事、烏骨城に着けば、無欠入場できる、いいな?」「はい、大莫離支」
一同、礼をして、たっていく。
ナムセンの顔。

テ・ジョヨンたちが、馬で進む。


夜、ナムセンたちが馬で進む。
フクスドル「大莫離支、あの山を越えれば、烏骨城です」
ナムセン「夜が明ける。野営の準備を」
「承知しました。野営するぞ。陣営を建てろ。野営だ、皆、陣営を建てろ」
シン・ホン「準備の間、烏骨城へ行って来ます」
ナムセン、うなずく。

馬に乗ったテ・ジョヨンたち。
「城門を開けろ」
烏骨城。
「城門を開けろ」
「何者だ?」
テ・ジョヨン「城主はどちらに?」
「(城壁の上から)どこから来た誰だ?」
「安市城からの者です。城門を開けて下さい」
「安市城? 安市城から何用で来た?」
トルバル、前へ出る。
「私をお覚えですか? 安市城のトルバルです」
「なんと…これは、トルバル将軍。者ども、城門を開けろ、城門を開けろ」


室内。
「ナムセン様が唐を引き込むだと?」
「唐軍を迎えるため、じきにここに来ます」
「ナムセン様を生け捕る策があります。反乱を防ぐために、どうかご協力を」
「私は、その話を信じられん。大莫離支の長子たるナムセン様が、唐と手を結ぶだと? そんな方ではない。何か誤解しているか、計略なのだろう。違うか」
「(兵士が入ってきて)城主様(耳打ち)」
「何? ナムセン様の使者が?」
一同、緊張する。
テ・ジョヨン「(手紙を出して)ヤン将軍の親筆です。どちらを選ぶにせよ、城主様の選択が国運を決めます」

室内で、トルバル、コルサビウ、ム・ヨムが待っている。
テ・ジョヨンが来る。
トルバル「烏骨の城主は、本来ナムセン側の人間だ。もし、城主が我らを信じず、ナムセンを選んだら…」
コルサビウ「フクスドルと会う。使者の後をつければ、奴らの居場所が分かる」
テ・ジョヨン、考える。

城主とシン・ホン。
「ナムセン様が近くにおられる?」
「明晩には着きます」
「遼東に視察に行ったのでは?」
「事情があって、西海岸から見る事になりました」
「城にお越し下さるなら、光栄の限りだ(苦しげに)」
シン・ホンは、一度笑うが、不審な顔。


フクスドルがテーブルに座っている。
ナムセンがテーブルを叩いて立ち上がり、出口のほうを見に行く。
「シン公はまだ戻らぬか? 準備は?」
フクスドル「えっ? あの…何の準備を?」
「何の準備? 公が戻り次第―-数人だけで城へ入ると言っただろう」
「あー、はははは、それならお任せを」
「しっかりしろ。大事な時だぞ」
「はい」
「大莫離支」
シン・ホンが来る。
「戻りました」
「待ってたぞ、烏骨の城主には会ったか?」
「はい」
「城を奪うのは時間の問題だ。唐軍さえ来れば、すべては思い通りだ」
「ですが、何かが変です」
「変だと?」
「城内の雰囲気や、城主の様子が…」
「詳しく言え。何が変なのだ?」
フクスドルが、ちら見する。
「私の予感ですが…」
「予感?」
「今夜は入城をおやめ下さい。城内を調べてから…」
「何を申すか、安市城に気づかれたら…」
「危険を冒す必要はありません」
「予感だろう、こんな重大事を、予感に頼っていられるか」
「ですが…」
「今夜―ー入城するぞ。そなたは軍と待機せよ。明晩、密かに城門を開ける。機を見て迅速に城を攻めろ。一滴の血も流さず、城を奪えるだろう。聞いたな?」
フクスドル「えっ」
「またか。一体何を考えている? 気を引き締めろ」
「はい、しっかり気を引き締めます」
シン・ホンの疑い深い顔。


さまざまな色のリボンが木に絡みついている。
フクスドルがふくろうの真似をしている。
コルサビウが姿を現す。
「おい、ここだ」
「こら、梟の声も聞こえんのか?」
「昼に鳴くバカ梟か?」
「何だと、この野郎」
「さっさと奴らの計画を言え」
フクスドルが耳打ちしようとする。
「まったく、この野郎…誰もいないって」
フクスドル「何だと、この野郎(耳打ちする)」


夜、馬で進むナムセン、フクスドルたち。
後ろには歩兵の兵士。
「城門を開けろ、城門を開けろ」
「何者だ?」
フクスドル「城門を開けろ、大莫離支のお出ましだ、早く開けよ」
「私は、烏骨の城主だ。大莫離支はどちらだ?」
ナムセン「(前に出て)私だ、大莫離支ヨン・ナムセンだ」
「ようこそ、大莫離支。早く城門を開けろ。城門を開けろ」


ナムセンが、城門をくぐり、中に入る。
兵士たちが両脇に居る。
城主たちが待っている。
ナムセンたちが馬を下りて、前に進む。
城門が閉じて、残りの兵士が外に取り残される。
両脇の兵士が、槍をかまえる。
「何をする?」
城主が頭を下げる。
「何と無礼なことを」
城主の後ろから、テ・ジョヨンたちが現れる。
ナムセン「貴様は…一体なぜここに?」
「支援の唐軍は来ないでしょう」
「貴様、テ・ジョヨン!」
ナムセンが刀を抜こうとするが、フクスドルが止める。
「大莫離支。すべて終わりです、断念なさい」
「フクスドル…貴様が…私を裏切ったのか?」
「私ではなく、大莫離支が国を裏切ったのです」
「フクスドル…お前まで私を…!」
ナムセン、剣を抜こうとするがフクスドルに邪魔されて、剣を落とす。
城主「逮捕せよ」
フクスドル「(剣を抜いて)近づく者は皆殺しにしてくれる」
コルサビウ「この野郎」
テ・ジョヨン「何の真似だ?」
「我が主に恥じはかかせん」
フクスドルは、半回転し、フクスドルの剣はナムセンのほうを向く。
フクスドル「大莫離支、私の手に、命をお委ね下さい」
ナムセン「おい、何のつもりだ」
「あの世へお送りした後―-このフクスドルも後を追います。これ以上、醜態を晒さず、このまま、死んでしまいましょう」
「フクスドル、フクスドル」
「それが、大莫離支にとって、最も潔い死なのです」
フクスドルが、ナムセンを斬ろうとするが、そばにいたコルサビウが取り押さえ、殴る。フクスドルは気絶する。
テ・ジョヨンは、冷たくナムセンを見つめる。

一室。
ナムセンとテ・ジョヨン。
ナムセンの前には、酒と料理。
「大莫離支としての礼遇は今日で最後です」
「礼遇? 礼遇か…有難くて涙が出る」
トルバル「(入ってきて)城外の国内城兵が解散し始めた」
「夜が明けたら、大莫離支と安市城へ行きます」
トルバル「準備しておく」
「無様だろう? そうだろうな。思い切り笑うがいい。今までお前を苛めた私だ」
「ヤン将軍は、だんな様を救うために、私を送りました。なのに、なぜ私を信用せず、唐の刺客の話に耳を貸したのです?」
「助けを求めただけだ。唐軍を引き込んで、平壌のナムゴンとブ大臣を消し、国の紀綱を立て直す気だった」「唐は高句麗を狙う敵です」
「国を潰すのは、唐も奸臣も同じだ」
「だんな様は国を売ろうとしました。高句麗の宿敵である唐にです」
「黙れ、誰が私をこうした? 平壌の大臣らも遼東も皆、私を見捨てた」
「だんな様」
「私が最も恐れたのは、ナムゴンでもブ大臣でも唐でもなかった。私は…私には…父上の死後―ー何も残っていなかった。誰にも心から頼れなかった。ナムゴンとブ大臣を消し、唐を追い出す気だった。国のために残された選択はそれだけだった。今でも正しかったと思う。運が悪かっただけだ(酒を飲む)」

馬に乗った兵隊たちが進み、安市城に入る。

安市城。
「ナムセンがこちらに押送されます」
「私は、ナムセンの処遇をまだ決めていない」
「今は、皇命を遂行中です。何をおっしゃいます」
ヤン将軍「平壌へ送れば、ナムセンは、ナムゴンとブ大臣に反逆罪で殺される。そうなれば、大莫離支は、当然ナムゴンだ。おのずとブ大臣らが権力を握るだろう」
テ将軍「ナムゴンが大莫離支になれば、間違いなく唐と和睦を結ぶはす。新羅と共に高句麗を狙う唐とは、和睦は有り得ません」
「だから、悩んでおる。国のためには、ナムセンが大莫離支になるべきだ、だが彼はもう大罪を犯してしまった」
「すべては、ブ大臣らのせいです。いっそ遼東から挙兵して、平壌を…」
「馬鹿を言うな。今、国は内紛で揺らいでいる。我らまで挙兵したら、民はさらなる混乱に陥ってしまう。それは滅亡の兆しだぞ」
コ・サゲびっくり。テ将軍下を向く。
「この件は単純な問題ではない、国命がかかっている。さらに熟考してから決める」

テ・ジョヨンたちが、城内を馬で進む。
チョリンが街角に現れる。
テ・ジョヨンの後ろには縛られたナムセン。
チョリンが見送る。
シン・ホンが現れ、隠れて様子をうかがっている。
縛られているナムセン。
見送るシン・ホン。

フクスドルが警備している。
コルサビウ「見直したぞ、腕力ばかりだと思ってた」
「うるさい、黙ってろ。お前には分かるまい」
ヤン将軍が来る。
ヤン将軍「(そばのコ・サグに)ここで待て」

座っているナムセンが、ヤン将軍を見て立ち、あたまを下げる。
ヤン将軍座る。
ナムセン、別の椅子に座る。
「私をどうなさいます?」
「お前をどうしたらいい?」
「死は恐れませんが、ナムゴンが権力を握り、ブ大臣が勢力を得たら、高句麗はじきに滅ぶでしょう」
「知っていながら、愚行に及んだのか」
「仕方ありませんでした。平壌も遼東も私を責め立てたのです」
「だが、反逆の口実にはならん」
「許されなくても構いません。私は、ただ―ー私の死後の、国を憂うのみです」
「少なくとも貴様は、亡き父の遺志を継ぐと思っていた。ゲソムンは最後まで、お前を気にかけていた。なのにこの手で、お前を捕らえるとは。お前だけでなく、私も死んで、我が友に顔向けできん。一体なぜお前は、こうなってしまったのだ」
「父上は、私に、英雄は諦めろと言いました。生涯―ー国と民だけを思えと。でも一瞬の気の迷いが、消せぬ不忠と不孝を犯させたのです。将軍、このままでは、死んでも死に切れません。父上の遺志を少しでも果たさねば。死んでも目をつむれません(床にひざまずく)将軍、私に、愚かな私に、もう一度機会を。自信はあります。唐を滅ぼし、父上の偉業を成す自信があります。将軍、一度だけ、一度だけ機会を、私を哀れんで、一度だけ…将軍…」
「お前がこうなったのは、すべて私が愚かなせいだ。ヨン・ゲソムンが去りし後を、この私が埋められなかったからだ」
「将軍」「私も人間だ。私はお前を許せる。だが、お前の反逆罪は、私が許しても消えぬのだ。高句麗と民と歴史がお前を許さぬからだ」
「将軍」「覆水は盆に返らぬ。お前の犯した罪で、私と高句麗が、皆が報いを受けるのだ。今の国の危機こそが、すべて天の下した罰なのだ。傲慢で不遜だった我らへの罰だ。だから、一切の許しなど期待するな(席を立っていく)」
「(立ち上がって)本当にうまくやるつもりでした。高句麗のために、すべてを捧げようとしました。でも、思い通りにならず―ーあまりにも孤独で、恐ろしかった。なのに、なぜ私だけ悪者扱いするのです? ナムゴンもブ大臣も悪いのに、私だけ…なぜ私ばかり責めるのですか?」ヤン将軍は、黙って聞いているが、そのまま去る。
ナムセンは、泣き崩れる。
外に出るヤン将軍。
ナムセンの声「私をお許し下さい。愚かな私をお許し下さい。父上…父上に会いたい。恋しゅうございます」
ナムセン「父上…愚かなナムセンを、お許し下さい、父上。父上…!」
外で聞いているヤン将軍、ため息をつく。


女たちが料理している。
屋台の食堂らしき場所。
声「だから、こういう事なんだよ」
チョリンが食事している。
「あのナムセンが唐軍を引き入れようとしてああなったんだ」
チョリンは聞いている。
「国を潰すつもりだったんだな」
「まったくだ。テ将軍の息子、テ副将がいなかったら、国は滅んでたさ」
「契丹の方はどうなった? 捕まったのか?」
「それは…」
聞き耳を立てていたチョリンは、荷物を持って立ち上がる。

安市城。
「ついに、決断を下す時が来た」
コ・サゲ「我らは、大将軍に従います」
テ「将軍がお決め下さい」
「今我らは、ナムセンを押送する事も、さりとて皇命に逆らう事もできん
」テ将軍は、無言。
コ・サゲ「何か他の方法は?」
「ナムセンの引渡しを条件に、平壌の臣下と遼東の軍部で、陛下を中心とし、大規模な会談を行う」
「会談ですと?」
「烏骨城の近海に、いつ唐軍が現れるか分からぬ。今国論を分裂させるのは、国を滅亡に導くことになる。ナムゴンの件を機に、ブ大臣たちを会談場に出席させ、長らくの蟠り(わだかまり)と誤解を解き、すべての臣下が心を合わせる機会とする」
「素晴しい考えです。ですが、皆が我々の真心を信じるでしょうか?」
テ「反逆を防いだ功を、ブ大臣も認めるしかありません」
「素晴しい妙案です。計画通りになれば、この件は、国を団結させる機会にもなります」「(うなずきながら)会談の結果によっては、ナムセンを助けられよう」
「将軍、我らの意思を十分に伝えないと。下手をすると誤解が生じ得ます」
「将軍、私をお送り下さい」
「お前を?」
「私は幼少時から、ナムゴン様を見てきました。事情を話せば、ナムゴン様も会談を拒否しないはずです」
テ将軍「誰よりも平壌をよく知っているゆえ、ジョヨンに任せるのが妥当でしょう」
「では、コルサビウと行け」
コルサビウ「承知しました」
「時間がない、急げ」
テ・ジョヨンはうなずき、立ち上がる。


チョリンが一人で歩いている。
馬に乗ったテ・ジョヨンとコルサビウたちが通り過ぎる。
チョリンは手紙と、通り過ぎた騎馬兵のあとを交互に見る。

ヨンジュの会議。
「兵を運ぶ船が準備できました。明日には烏骨城へ出発できます」
ソリンギ「ご苦労だった。すべては、イ・ヘゴ、そなたの功だ。唐の朝廷でも、この事を高く評価している。皆の功はすでに報告済みだ。じきに褒美を与えられるだろう」
ソルとモゲが、頭を下げ、一礼する。
ソル「ありがとうございます」
「そうか…名前をソル・ゲドウと言ったか?」
「はい、将軍の名声は聞いております。お慕いする方からご褒美だなんて。死んでも悔いはありません」
「私の名声を聞いたとな…どこで?」
「剣を手に馬を駆る者で、将軍を知らぬ者はいません。将軍こそ北方の英雄です」
「英雄…英雄か。それも、もう聞き飽きた。まったく天井知らずの人気だな」
ポンペ「(入ってきて)将軍、これをご覧下さい(ソリンギに手紙を渡す)」
ソリンギ「(手紙を受け取って、見るが、さかさま)何だ、これは?」
「遼東とヨンジュを行き来する商人からで、ナムセンがヤン・マンチュンに逮捕されたそうです」
ソリンギ「(びっくり)何? ナムセンが逮捕?」
ポンペ「でも、送り主が分からないので、信じられません」
「何たる事だ」
イ・ヘゴ、手紙をとって、見て、驚く。
「どうした、誰かわかったか?」
「チョリン…チョリンに違いない」
「何?」
「確かにチョリンの筆跡です」
「では、生きていたのか? すると、ナムセン逮捕は本当なのか? ポンペよ」
「はい」「皆を集めろ、今すぐ対策会議だ」
「承知しました」
嬉しそうな、悔しそうな、複雑な顔のイ・ヘゴ。



会議。
「ははははは、娘が生きていた。分かってたとも。チョリンは柔な娘じゃない、そうだろう?、はははは」
ソン・マニョン「そうです。チョリンの事で悲痛に満ちていましたが。この上ない吉報です」
「士気を上げるために、宴会でもどうだ」
ポンペ「実に良い考えです、可汗、ソル将軍の好物の肉饅頭も作って…」
「ナムセンが逮捕されたのだ、何が嬉しくて宴会を開く?」
「あの、将軍…」
「こら、計画が水の泡になったのに、宴会だと? 頭の中はいつも食うことばかり。いい加減にしろ」
「将軍、私じゃなくて、可汗が…」
「やかましい、やれやれ…今度こそ、高句麗の息の根を止められたのに。父親とは大違いだ。ヨン・ゲソムンの長男たる者が、なんと不甲斐ない」
「作戦は水の泡となりましたが、我らには朗報ですぞ」
「朗報だと?」
「お考え下さい。ナムセンを捕らえたなら、軍部には分裂が生じたはず。大莫離支はナムゴンに変わり、貴族が優勢になるから、平壌と遼東の溝は深まるでしょう」
「さようです。高句麗には亀裂が生じているのです」
「そうだな、今、高句麗は滅亡寸前にあるのだな」
イ・ヘゴ「将軍、小規模な軍事作戦ではなく、全面戦を起こしましょう」
「全面戦?」「そうです、この機にけりを付けるのです」
「全面戦…この機にけりを付けるか…それも悪くない。ヨン・ゲソムンは死に、ナムセンは逮捕。渡りに船だ、負けるはずがない、はははは、よし」

モゲ「安市城へですか?」
イ・ヘゴ「私は今―ー大戦を控えて自由に動けん。チョリンを連れて来い」
「でも、お嬢様は断るでしょう」
「(うなずく)来ないなら、側(そば)でチョリンを守れ。事が一段落したら私が行く」「承知しました」



手紙を読むポジャン王。
「この報告は本当か?」
「さようです」
「ならば、なぜ罪人ナムセンを押送しない?」
「ヤン将軍は、この件を機に、談話の場を望んでいます」
ナムゴン「談話の場とは、どういうことだ?」
王「国の臣下が集まり、忌憚(きたん)なく国論を論じようという事だ。朕も大将軍と同感だ。今、高句麗のためには何よりも、和合をなすのが先決だ」
ブ「ですが、陛下、鵜呑みにするのは危険です」
ケジン「陛下、ナムセンを逮捕したのなら、まずは押送すべきなのに、引き渡さずに談話などとは、話になりません」
ソンギョム「両者が結託したかもしれません。あの者を投獄し、真意を探るべきです」
テ・ジョヨン「反逆を防ぎました。遼東の忠誠心を疑うなんて」
ブ「黙れ、知らぬと思ったか? お前が来た理由は平壌を探り、陛下を安心させ、謀反を企てるためだ」
「いいえ、違います」
ナムゴン「陛下、慎重に決める事です。この大莫離支ナムゴンにお任せ下さい」
王は、下を向く。
ブ「者ども、テ・ジョヨンと供の者を投獄せよ」
サブク「はい。連れて行け」
「陛下、濡れ衣です。遼東は反逆していません。陛下、陛下、騙されてはなりません、陛下、陛下」


スギョン「テ副将が投獄ですって?」
「はい、その事で皇宮内は、騒然としています」
「陛下は?」
「心痛のあまり、寝所にお戻りに…」
「何か…大変な事が起こりそう」


太学。
「ブ大臣一派は、今やヤン将軍まで、逆賊扱いしておる」
「もう黙っていられません」
「私兵も奪われた今、成す術もない」
チャン・サネ「もし遼東がやられれば、高句麗は滅びます」
コム・モジャム「決して、遼東を潰してはなりません」
「それより、まずジョヨンから救うべきだ」


ブ・ギウォンのところへ、テ・ジョヨンが連れてこられる。
「皆、下がれ」
「大丈夫でしょうか」
「何事もないだろう」
「行くぞ」
「私はヤン将軍を敵に回したくない。将軍がいなければ、遼東は国を守れまい。ヤン将軍を説得する手紙を書いてもらおう。要求は簡単だ。ナムセンを渡し、平壌の事に干渉ない。本来の任務に励めということだ、どうだ? 協力するか?」
「(横を向く)嫌です」
「嫌だ? 一体なぜだ?」
「ナムセン様を処刑したら、ヨクサル様の思い通りになる」
「つまり、我らを信用できんという事か」
「ヨクサル様も我らを信用していません」
「拒めば、ナムセンだけでなく、ヤン将軍も大逆罪人とされるぞ。そうなれば、私が尽力しても助けられん。それでも、私の要求を断るのか?」
テ・ジョヨン動揺。
「ナムセンが消えれば、ナムゴンが大莫離支になる。そうすれば、高句麗から戦がなくなる。唐と交流しつつ、国のすべての民が平穏に暮らせるのだ」
「消えるべきは、ナムセン様ではなく、南部ヨクサル、ブ・ギウォンだ」
「何? こやつめ」
「国と民を守るという口実で、国を分裂させるな。陛下の目と耳を塞ぎ、ナムゴン様を担いだ理由は、国の全権を握るためだろう」
「黙れ」
「策を弄しても、大臣の望むものは何も得られまい。このテ・ジョヨンがその姦計を破ってやる」
「者ども、こいつを牢に放り込め」
「はい、行くぞ」「はい」「来い」

シン・ソンとナムゴン。
「どうも心配だ」
「すべては順調です。何を心配なさいます?」
「ブ大臣だ。テ副将を投獄したが、ヤン将軍まで逆徒扱いは…」
「ヤン将軍がいる限り、大莫離支の位は無意味です。それだけ、ヤン将軍の存在は脅威なのです。ブ大臣が先走るのはあなた様のためです。高句麗を守れるのは、ナムゴン様だけだからです。サブク将軍が、皇命で安市城へ向かいました。ヤン将軍もナムセンを渡すしかない。ナムセンを消せば、高句麗はナムゴン様のものです」

サブクたちが馬で進む。
チョリンが家の陰から現れ、サブクを見て、隠れる。
後をつけられている気配を感じ、その後ろに回り、剣を突きつける。
「お嬢様」「モゲじゃないか」「はい、モゲです」「ここには何用だ?」「ここは危険です」
チョリンは、ちょっと考え、歩き出す。
物陰。
「ヨンジュへは帰らぬ。」「お嬢様」「やる事があるのだ」
「じきに高句麗討伐が始まります。ここにお一人でいては危険です」
「父上の命令か? 兄上か。時が来たら帰る。それよりも、今日は安市城の雰囲気が変だ」
「平壌城へ行った使者が投獄されました」
「平壌城へ行った使者が?」
「城門で兵士の話を聞きました。平壌城からナムセンを連行するとか」
「使者がどうなったか、調べておいで」
「はい」

安市城。
「安市城の使者を投獄しただと?」
「さようです」
「どういう事か詳しく申せ」
サブク「陛下は遼東を疑っておいでです」
「何、疑うだと?」
「大逆罪人ナムセンを遼東は庇護しています」
「庇護だと? ヤン将軍が親書で、状況をお知らせした」
「それを信じる者などおりません」
「黙れ、陛下が遼東を疑うはずがない。お前らの企みなのは、お見通しだ」
「私は皇命を遂行する身。直ちに罪人ナムセンの引渡しを」
テ「大将軍の提案した会談が、先に成されるべきだ。その前には渡せん」
「皇命に背いたら、まずは平壌城の獄中のテ・ジョヨンが死にますぞ」
一同びっくり。
「何だと?」
「次に、ナムセンの共犯としてヤン将軍が押送されます」
テ「ええい、黙れ」
「その次は、遼東全体が逆賊とされるでしょう」
ヤン将軍「貴様、サブクめ、おのれ…!」

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