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テ・ジョヨン31回目

民衆の声「ヤン将軍を釈放してくれ」
「釈放せよ」
ブ・ギウォン「何をしておる、命令が聞こえないのか? 早く射るのだ」
射手が弓をかまえる。
ヤン将軍「ならん、駄目だ、矢を射てはならん」
ヤン将軍が、檻車の中で立って叫んでいる。
「おのれ、ブ・ギウォンめ」
「早く射るのだ」
「射るな、民を射てはならん」
ナムゴン「やめい」
ナムゴンは馬をおりて、進み、射手のそばにいく。
ナムゴン「矢を下げろ、早く」
ブ「どういうつもりだ」
ナムゴン「民を解散できますか?」
「自国の民を自ら殺めるのは、反逆よりも重罪だ。ここから早く出せ」
ナムゴン「檻車を開き、大将軍を外へ」
サブクが目配せすると、手下が動いて、鍵を開ける。
ヤン将軍は、檻車を出て、民衆の前に進み出る。
民衆は大喜びで、喚声をあげる。
ヤン将軍「私がここへ来たのは、文武臣下が集まって、志を一つにまとめるためだ。しかし、何か誤解があったようだ。だが、心配は無用だ。いずれ―ー私の忠心は大臣たちに十分伝わるはずだ」
「我らも何が正しく悪いかは分かっています」
「今、皇宮へ行ったらお命が危のうございます」
「大将軍は私たちがお守りいたします」
「そうだとも、我らがお守りしよう」
「我らがお守りを」「きっと守りますぞ」
民衆ざわめく。
ヤン将軍「皆、話を聞くがよい。国論が二分するのは大臣のせいだけではない。民が朝廷を信用しないこと。これもまた国を滅亡に追いやる事だ。皆はこの高句麗の誇らしい民だ。今はこのヤン・マンチュンのことよりも、各自の持ち場をしっかり守る事が何より大事だ。皆がしっかりしている限り、この国もまた、簡単に傾いたりはしないだろう。陛下に会いに行かねばならん。さあ道を開けてくれ」
ナムゴン「馬にどうぞ。馬を引け」
民衆「大将軍、万歳、万歳、万歳」
民衆の間を、ヤン将軍とお供の武将が進む。

ポジャン王「本当か?」
スギョン「はい、聞きつけた民が体で檻車を止めました。今も民は松明を手に大将軍について来ております」
「驚くべき事だ。実に素晴しい」
「民もすべてを知りました。皆も将軍の処刑を主張できぬはず」
「いや違う。彼らは民を恐れない。将軍の処刑を主張するだろう」
「どうしたら良いのです?」
「朕が自ら出迎える」
「陛下」
「誰かいるか?」
「はい、陛下」
「今すぐ、鞠問場へ行く。準備せよ」
「承知いたしました」


松明の並ぶ大広場。
テ・ジュンサン達がいる。
テ・ジョヨンが来る。
「父上」
「ジョヨン、投獄されたと聞いたが」
テ・ジョヨン「コム師範のお蔭です」
テ・ジュンサン「とにかく良かった。だが大将軍はご無事だろうか?」
トルバル「心配要りません。大変な民の気勢です」
コ・サグ「民が目を光らせておる。ブ大臣も手を出せまい」
コム「太学へ行きましょう。平壌の武将が待っています」
「さあ、行こう」


皇宮前。
両側に兵士の松明。
ヤン将軍の後ろに、ナムゴン、ブ・ギウォン。
ヤン将軍「陛下、このヤン・マンチュン、ご挨拶申し上げます」
王「よく来た」
「私は政局を論じに参りました。陛下との面談を要請します」
ブ「陛下、将軍は皇命によって、押送された罪人です」
ケジン「さようです。すぐに投獄し、後に鞠問を開いて、罪を問うのです」
ソンギョム「陛下、お察し下さい」
「お察し下さい、陛下」
「その通り、将軍は謀反の疑いをかけられている。だが、まだ―ー何も明らかになっていない」
ブ「何をおっしゃいます」
「者ども、将軍を正殿へ案内せよ」
ケジン「陛下、反逆を企てた大逆罪人です」
「御自ら国法を破るのですか?」
王「真実が明かされるまで、誰も謀反などと口にするな。その判断は国王だけが持つ権限だ」
「ですが…」
「さあ、早く、大将軍を正殿へ」
ヤン将軍は進む。
ブ・ギウォンは苦々しい顔。



室内。
王とヤン将軍。
「朕には国王の資格などない」
「陛下」
「亡き大莫離支に導かれて、王となって以来、度も国王の権威や勇気を示せなかった」
「今まで、高句麗が存続できたのは、陛下が玉座を固く守っていたからです
「いいや、違う。無実の忠臣を守る力さえ、私にはない。無能な自分が情けない限りだ」「陛下…国が正しくあるためには、民の誇りが必要です。国がこうなったのは、臣下が悪事を平然と行ったからです。それを正すには、陛下がなさるべき事を正確に知るべきです」
「話してくれ、朕は何をするべきだ?」
「私ごときが、陛下の権能を述べることはできません。ですが、国を救う方法を問うのであれば、このヤン・マンチュン、命を懸けてお答えいたします」
「早く、早く申せ。国のために何をすべきだ? 早く高見を述べよ」
ヤン将軍の顔。


太学。
会議席上。
テ・ジョヨン「(入ってきて)今、大将軍が、客宮へ向かいました」
「客宮へ? では宮内で過ごされるのか?」
「そのようです」
「牢獄でないだけ、実に幸いです」
「油断は禁物です。客宮は離れた所にあります。危険なのは牢獄と同じです」
テ・ジュンサン「では、宮内には将軍を守る兵はいないのか?」
チャン・サネ「宮内に入れる軍は、サブクの都城守備隊のみです」
コ・サグ「では、どうすればいいのだ」
チ・ミンチュン「我らが行く」
オン・サムン「我らも平壌城の武将だ」
イ・ギウ「我らが入って大将軍を守ろう」
コ・サグ「でも、揮下の兵は少ないはず」
テ・ジョヨン「我らも行きます」
「ならんぞ、昨日脱出したばかりだ」
「変装してでもお守りしたいのです」
「でも見つかったら…」
テ・ジュンサン「連れて行かれよ。今は一人の兵力も惜しい時なのだ」
「どうか、ヤン将軍を守られよ、高句麗の運命は将軍にかかっている」
チ・ミンチュン「心配無用。死力を尽くします」

平壌城・アノ宮。
ケジン「どうも陛下の胸中が怪しい。一体二人で何を話したのか」
「大したことはないでしょう。丸腰で平壌に入った以上、簡単には出られまい」
ブ・ギウォン「相手は、ヤン将軍なのを忘れないよう。万が一、無罪放免されたら」
「無罪放免? 大将軍を許すと?」
「今からでも投獄して機先を制するのです」
「だが、陛下の厳命があるのだ」
サブク「宮内は都城守備隊が掌握しています。宦官を口止めすれば、陛下も知り得ませんえません」「そうだ、一理ある話だ」
ケジン「今、ヤン将軍を釈放するのは、怒り狂う虎を放つ事だ。高句麗を飲み込む程の大虎をだ」
「混乱を防ぐためにも大将軍を投獄せねば。今すぐやれ」
サブク「承知しました」
ケジン「ここまで来てヤン将軍を消せなければ、我らは報復されて皆殺されてしまう」
ブ「国の存亡がかかっています。死など恐れはしません」


サブクが兵士を連れてくる。
正面には、太学の平壌武将たち。
サブク「皆様、何用でここに?」
「そなたこそ、兵を率いて何用だ?」
サブク「皇宮内には兵を入れられません」
「だが、直属の上官を守る義務はある」
「ここは、私に任せて、速やかに退出されよ」
チ「無礼な。一介の模達が誰に命令している?」
「従わないなら、皆様を捕らえるしかない」
コム将軍が剣を抜き、皆一斉に抜く。
「戦闘が開かれるまで、命懸けで守るべきお方だ。我らを殺すか。それとも帰られよ」
「いつまで、そうできるか見ものですな。行くぞ」
サブクは、兵を連れて去る。


ヤン将軍とテ・ジョヨン、コルサビウ。
「将軍」
「私は決着をつけにここに来た。命が惜しければ、ここに来たりはせん」
「ですが、余りにも危険です」
「どの戦も危険でなかった事はない」
「今度は違います。何一つ有利な物はありません」
「隋や唐が大軍を率いて攻めた時も、今のように絶望していた。だが結局は我らの勝利だった。今度も同じだ。避けられぬなら正面突破しかない」
「ですが、将軍が…」
「私の命は問題ではない。この難関を越えられねば、高句麗は滅亡へ向かう。しかし―ーうまく越えれば、我らは新たな千年への機会を手にできる」
「今―ー機会と言いましたか?」
「将軍」




ナムゴンのところへ、シン・ソンが来る。
「ようこそ、居士様」
「何を考えていました?」
「ヤン将軍の処刑を座視するのですか? 鞠問を止められないのですか?」
「今、高句麗には、彼ほど力のある人物はいません。将軍に歓呼する民を見たはずです。ヤン将軍が民心を利用するなら、国は彼の手中に収まるでしょう。ですが、それは、国の安全のためには、正しくない事です。鞠問が終われば、あなた様は大莫離支です。今は慎重さよりも、果敢な決断力が必要です。亡き大莫離支の見せたあの決断力です」
「ナムセン兄上の消息は何も?」
「どこかの空の下をさ迷っているでしょう。ナムセンはお忘れ下さい。国の事だけでもやる事は山積みなのです」


長安城。
ナムセンとシン・ホン。
ナムセン「唐に来るんじゃなかった」
「なぜです?」
「高句麗討伐が始まる。奴らに利用されたら…」
「奴らが望めば、先鋒に立たされるかも」
「(ぎょっとして)何だと? 唐のために戦えだと?」
「お静かに。最初から兎死狗烹する計画です」
[兎死狗烹:狩りの後、不要となった猟犬を煮て食う事]
「狗(いぬ)の種類などは、関係ありません」
「シン公」
「ヨンジュの契丹軍でも唐の本軍でも、目的を果たせばお払い箱のはず」
「あの時は、私が大莫離支だった。唐の手先になって攻めるなどできん」
「大莫離支、今は感傷など不要です」
「感傷?」
「今、我らは何もできません。今の臥薪嘗胆も後日のためでしょう?」
〔臥薪嘗胆:志を成すため、さまざまな苦労を耐え抜く事〕
「小事のため大事を逃しかねません。我らの目標は、ナムゴンらに奪われた国を取り戻すこと」
ポンペがくる。
「皇帝陛下がお待ちです」


皇帝の玉座前。
ナムセンとシン・ホンが挨拶する。
皇帝「そなたの父と唐の間で、悪縁が長いこと続いている。その縁を断ち切る方法は、ただ一つしかない」
イジョク「陛下、ヨン・ゲソムンの息子が来たのです。悪縁を絶つ時が来ました」
「さようです。忠誠を誓わせ。官位を与え、高句麗滅亡の先鋒となさいませ」
「そなたに聞こう。朕の臣下となり、当に忠誠を尽くすと誓うか?」
ナムセン無言。
イジョク「陛下が聞いておられるぞ」
ソリンギ「ヨン大人、急に口が利けなくなったのか?」
「私は高句麗の大莫離支として、唐の皇帝に会いに来た。なのに急に忠誠を誓えとは…困惑するしかない」
ソリンギ、動揺。
「では、忠誠を誓わぬのか?」
「どんな官位を与えられても、高句麗の大莫離支には及ばぬ」
「貴様、父に似て、無礼極まりない」
イメン「陛下、今すぐ投獄なさいませ」
ウィスン「恐れ多くも陛下と皇室を愚弄しました。許してはなりません」
ソリンギ「しばし待たれよ。陛下、すべては私の落ち度です。長旅で、頭が朦朧としているので…」
「もう一度聞く。忠誠を誓い、臣下になる気はないのか?」
ナムセン無言。
ソリンギ「陛下、しばし時間を下さい。必ずや忠誠を誓い、陛下の忠臣となるでしょう。海のごとき、大恩を施し下さいませ」
「敵国の首将だったそなたが、簡単に忠誠などできまい。だが、朕の恩はただ一度きりだぞ」


ソリンギが、廊下をナムセンとシン・ホンをつれて歩いている。
「ヨン大人、何のつもりです? この私の首まで飛ぶところだった」
「忠誠を誓うなど聞いてない」
「では、只で唐の大軍を使う気でしたか? やれやれまったく…何と取り引きに疎い事か。ヨン大人、言葉で千両の借りを返すと言う。一言の誓いで大軍を得られるのに、何ゆえ拒否なさる?」
「主人の胸中は複雑です。落ち着き次第、陛下にお会いしましょう」
「そんな事はない」「大莫離支」
「いくら困窮しても、高句麗を滅ぼす事はできん」
「ならば、ヨン大人は生きて皇宮から出られませんぞ」
「覚悟の上だ」
「何?」「大莫離支」
ポンペ「(駆け寄って)将軍、皇后殿から使いが来ました。皇后陛下がお呼びです」
「皇后陛下が? 私が来たと聞いてすぐお呼びとは、ははは、行くぞ(歩き出す)」
ポンペ「将軍ではなくて」
「(振り向いて)私じゃない?」
「ヨン大人をお呼びです」
シン・ホン「(小声で)お会いなさい」
「話す事などない」
「大変な事を起こした今―ー皇后まで拒否しては、生きて出られません」
ナムセンにらむ。


皇后殿。
ナムセンとソリンギ、シン・ホン。
「陛下の御前で忠誠を拒否するとは、さすがヨン・ゲソムンの息子らしい」
「私を呼んだ理由は?」
「私は一度狙ったものは必ず手に入れる。幸い貴殿は私の関心内にいる」
「だが唐のために高句麗を攻めたりはしない」
「そうこなくちゃ。忠誠も恋情も、簡単に換えられるなら男子の心とは言えまい」
「話は終わった。帰ります」
「高句麗が滅ぶのはもう決まった事」
「違う。私と弟が国を乱したが、私がいなくても問題ないはず」
「だがヤン将軍がいないなら?」
一同びっくり。
「何の話です? ヤン将軍がいなくなる?」
「問題が起きた。今は大逆罪人とされている。そなたが脱出したせいで、最後の望みの綱ヤン将軍が死ぬ事となった」
「そんな…ヤン将軍が…」
「高句麗が滅んだら、その一等功臣はそなたに他ならん。ヤン将軍があの様では、高句麗は持ち堪えられまい」
ソリンギ「皇后陛下、それが本当なら、早く事を進めましょう。今すぐ高句麗に攻め込み、決着をつけねば」
「当然です。ヤン将軍が処刑された瞬間、全唐軍が高句麗を攻める。堪えよ。滅び行く国を見守るか、唐に忠誠し、新たな歴史に参加するか、そなたの選択次第だ」
「大莫離支」
ナムセン驚愕。



民が座り込んでいる。
「ヤン将軍を釈放してくれ」
「ヤン将軍は無罪だ。釈放を」
「ヤン将軍を釈放してくれ」
大勢の民が集まって、宮殿のほうへ動いている。
ブ・ギウォンの声「もう座視できません」
五部家の会議室。
「釈放を求める民が増え続けています」
ケジン「さらに増える前に、蹴散らさねば」
「ですが、むしろ民を煽る事になるのでは?」
サブク「甘やかせば、増長するのが民なのです。国のためにご決断を」
ナムゴンは、思案顔。
ケジン「今すぐ強制解散させるよう命令なさい」
ためらうナムゴン。
ブ「歯がゆいですな。いかがなされた?」
シン・ソン「権力掌握は目前です。迷いは禁物」
兵士「(入ってきて挨拶する)陛下がお呼びです」
ナムゴン、立っていく。
ブ「最近、ナムゴンの様子がおかしい」
「そなたもそう思うか?」
ケジン「ヤン将軍が押送された時からだ。鞠問の予定も延期されておる。我らにとって、事が不利に運んでいるのだ」
ブ「サブク将軍」
「はい、褥薩様」
「今すぐ、兵を率いて、民を追い払え。抵抗する者は消すのだ。何人か殺せば散り散りになる」
「はい、仰せのままに」
「ナムゴンばかり、期待できません。民を解散させたら、ヤン将軍を投獄します」
ケジン「そうだ、ヤン将軍を消したら、いっそ、そなたが大莫離支になるのだ。ナムゴンよりそなたが適役だ」
「さようです。では、今から―ー手筈を整えた方が…」
「そうだ」
ブ「民のためならば、恐ろしく辛い道でも甘受しましょう(目を閉じて)国民のためならば…(目を開けて、頷く)」

宮殿の前に、大勢の民が座っている。
サブクが兵を連れて、門から出てくる。
テ・ジュンサン、コ・サグ、チャン・サネが民の間にいる。
サブク「歯向かう者は皆殺せ」
「はい。解散だ、皆帰れ」
サブクの合図で、兵士が民にとびかかり、殴りつける。
テ・ジュンサン「やめろ」
子供「殴らないで」
テ・ジュンサン「剣を捨てろ、武力で対抗するな」
コ・サグ「やめろ、やめるんだ」
トルバルを止めるテ・ジュンサン。
「気は確かか? 民が死んでいくぞ」
コ「放せ、早く民を止めろ、早く帰れ、帰るんだ」
「皆帰るんだ」
サブクの勝ち誇った笑い顔。

ヤン将軍「今、外で聞こえた悲鳴は? なぜ答えぬ? 何事だ?」
テ・ジョヨン「外にブ・ギウォンが来ています」
「ブ・ギウォンが? 通せ」
ブ・ギウォン「実に大胆な奴だ。遠くへ逃げたと思いきや、皇宮内にいたとは。(ヤン将軍のほうを向いて)何を頼みしているかと思えば、頼もしい部下をお持ちですな」
「何用で来た?」
「民との間に流血沙汰が起きました。ですが、まだ終わってません。民が再び集まり始めました、あなたを救うために。今すぐ、外の武将を解散させ、牢獄にお入り下さい。さもなくば、将軍のせいで民は皆死ぬでしょう。これ以上、悲劇を生じさせないように」
ヤン将軍「外に注意しろ。二人とも近くに座れ」
テ・ジョヨンとコルサビウは、ヤン将軍の近くに座る。
「これから話す事をよく聞け。私は、ここに来る時、大きな絵を描いていた。高句麗を救う巨大な計画だ。だが予想外に事の進展が早い。今から二人に手伝ってほしい」
テ・ジョヨン「どうか、命令を」
コルサビウ「何でもやります」
ヤン将軍が話している。

ブ・ギウォンとサブクが兵を連れてくる。
ブ「逮捕せよ」
サブク「はい。行くぞ」

ヤン将軍の会議。
「皆、ここから撤退しろ」
「命令の取り消しを。最後まで将軍をお守りします」
「私のせいで、民を死なせられるか。ここは私に任せて、皆帰れ」
オン・サムン「でも我らまで帰っては…」
「私にも考えがあるのだ」
チ・ミョンチョン「考えと言うのは一体…」
「この危機を脱する方法ですか?」
コム「ご説明下さい。さもなくば、将軍を置いて帰れません」
サブクが兵を連れてはいる。
サブク「無礼をお許し下さい。大将軍を牢獄へ。こちらへ」
「将軍、将軍」
「将軍」
「将軍、将軍」

王とナムゴン。
王「大将軍まで投獄したそうだが」
ナムゴン「申し訳ありません」
「何を考えておる? 大将軍を処刑する気か?」
「平壌と遼東のどちらかが折れるべきです。そうしてこそ、国論がまとまります」
「それで、国論統一のため、将軍を殺すのか?」
「戦も政治も、生き残った者が勝ちです。誰が見ても、今は大臣たちが勝者です」
「まだ、どちらかは分からん」
「どういう意味です?」
「大臣たちは信用できん。彼らは言葉が多すぎる。だがそなただけは信じたい。不世出の英雄ヨン・ゲソムンの息子だからだ」
「陛下」
「彼は、口先だけの忠誠ではなかった。行動せぬ忠誠は錆びた矢より役に立たぬと言った。下がるがよい。もう朕も考えをまとめたい


ナムゴンたちが宮殿から出てくる。
宮殿の前で、殺された民を嘆く人々。
シン・ソン「お連れしろ」
「はい」
馬に乗ろうとするが、やめて、歩くナムゴン。
物陰にテ・ジョヨンとコルサビウ。
テ・ジョヨン「頼んだぞ」
コルサビウが行く。


牢獄。
ヤン将軍がいる。
声「必ず成功させろ。高句麗の運命がかかっているのだ」
テ・ジョヨンの顔。

コルサビウが塀を飛び越える。
俵に火をつける。

兵士「火事だ、火事だぞ」
「火事だ、火を消せ、火事だぞ、消せ」

テ・ジョヨンが家の二階に忍び込んでいる。
火を消す兵士たち。

ナムゴンとシン・ソンがくる。
シン・ソン「何事だ、騒がしい」
「火事がありました」
「家の内外を厳重警備せよ」
「はい」
「もうお休み下さい」
「では明朝に」

部屋に入ろうとするナムゴンにテ・ジョヨンの刀が突きつけられる。
ナムゴン「貴様は…」
テ・ジョヨン「殺めるつもりはありません。しばし時間を下さい」
「貴様には寸刻も惜しい」
「私は、ヤン将軍の言葉を伝えに来ました」
「まずは、剣を下げろ」
テ・ジョヨン、剣を下げる。
「申せ。将軍は何とおっしゃった?」
「その前に、信用できるか確かめないと」
「将軍には非業の死を遂げさせたくない」
「ならばこんな事を起こさねばいいものを」
「時代の大勢に従ったまで」
「和睦を云々し、私服を肥やす事が?」
「高句麗の命運が私の双肩にかかっている。これこそが大勢なのだ。さあ、将軍の伝言を言え」
「私は、あなたを信用できない」
「入った以上、ただでは出られんぞ」
テ・ジョヨンは剣を突きつける。
「私もただでは帰りません。あなた様が本当に国を導く方なら、皇宮外で死んだ民を無視できないはず。将軍のお話のうち一つだけ話します。胸に手を置いてお考え下さい。あなた様が果たして国のために何をするべきか、民のために何をしてはいけないか、慎重に、そして謙虚にお考え下さい」
ナムゴンは、はっとする。
「もっと話せ、将軍は他に何とおっしゃった?」

テ・ジョヨンが門から入り、中へ進むとテ・ジュンサン将軍がいる。
テ・ジュンサン「コルサビウに聞いた。どうだった? ナムゴンの説得に成功したか?」
「最善を尽くしましたが、どうなるかは…」
「お前が赤子だった頃、将軍はわが家族を助けるため、死をも厭わなかった。だが今の我らに将軍のためにできる事は何もない」
「もし、将軍が亡くなられたら、すべては私のせいです。私が将軍の命令を全うできなかったからです」
テ・ジュンサン「「人事を尽くして天命を待つ」最善を尽くしたのだ。後は天命を待つのみ」
「父上」



ヨンジュ。
部族長「ヤン将軍が殺される?」
「さようです、可汗、じきに唐から数十万の大軍がヨンジュに来ます」
「何? 数十万の大軍が?」
ソン・マニョン「ソル将軍とナムセンは?」
ソル・ゲドウ「こちらに向かっています」
「では、忠誠を誓ったのでしょうか?」
「ナムセンも仕方なかったようだ。ヤン将軍まで死ねば、高句麗はそれこそ木っ端微塵だ」
イ・ヘゴ「大戦が起きるでしょう」
「軍の様子は?」
「すでに我が軍は臨戦態勢です。命令さえ下れば、すぐにでも高句麗を攻められます」
「もうすぐだ、高句麗を滅ぼせば、我が契丹がヨンジュの主となるのだ、ははははは」



イ・ヘゴとソル。
「安市城の情報は?」
「商人を通して聞いたけど、どうも捕まったようだ」
「捕まる? チョリンが?」
「安市城に契丹の間者がいるそうだ。誰かは明白だろう?」
イ・ヘゴあせる。
ソル「今は救出にも行けないし。俺を送ればよかったのに。モゲの馬鹿野郎が…」

牢獄にチョリンとモゲ。
食事を持った兵士が握り飯を差し入れる。
チョリン「平壌の消息はまだ何もないのか? 前に捕まった使者は? テ副将はどうなった? 頼むから答えてくれ。頼む」
モゲ「お嬢様、今は奴の心配より、ご自身を心配するべきです」

王の前に引き出された、罪人の衣服で縛られたヤン将軍。
周囲には大臣と兵士たち。
ブ・ギウォン「このブ・ギウォンが陛下に申し上げます。大逆罪人ヤン・マンチュンは数度皇命に背いた上、ナムセンの謀反を助けました。これに五部家と大臣たちの意見は一致しました。陛下は斬首を命じて処罰なさいませ」
武装したテ・ジュンサンやコムらの武将は動揺する。
ケジン「斬首をお命じ下さい、陛下」
「斬首をお命じ下さい、陛下」
王「昨今の高句麗は、下手をすれば滅亡し得る国家の非常事態にある。それゆえ、国を救い、民を助けるために何をすべきか考えた。文武臣下は聞け」
「はい、陛下」
「大模達ヤン・マンチュンを、今より―ー高句麗の大莫離支に任命する」
ブ・ギウォンびっくり。
ケジンは口パクパク。
サブクびっくり。
テ・ジョヨンもびっくり。
ヤン将軍は、動じず。


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