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テ・ジョヨン34回目

ナムセンとシン・ホンが外に出てくる。
「思ったとおりだ。ヤン将軍の暗殺犯はブ大臣だ。今も唐の和睦を信じてるだろう。一国の大臣が唐の姦計に弄されるとは、何と情けない事か」
「あとはだんな様だけです。和睦を結ぼうとする大臣たちの望みは破れ、だんな様だけが古びた王朝を打破し、新たな歴史を作れるのです。今は裏切り者とされる事を恐れますな。唐の二重性をはっきり見たはず。高句麗は長続きしません。彼らから国を取り戻すには、だんな様も真意を隠すのです。結局は最後に残る者が勝者なのです」


数人の騎馬兵が高句麗の旗を持って川沿いを走る。

王の前の会議。
サブク「(入ってくる)陛下、陛下、遼東からの急報です」
王「急報だと?」
「ヨン州の唐の本軍が遼東へ向かいました」
ナムゴン、ブ、王びっくり。
王「どういうことだ? 唐が侵略したのか?」
「さようです」
「どういう事だ、ブ大臣?」
ブ「有り得ぬ事です。今頃、使者が唐に和睦の意思を伝えたはず」
ヨン・ナムゴン「間違いなく遼東から、そう伝えられたのか?」
サブク「はい、大莫離支」
「陛下、遼東は戦のことしか頭にありません。きっと誤報でしょう」
チ・ミョンチョン「今まで、こんな誤報はありませんでした」
「では、使者が失敗したと言うのか?」
「やめんか、すぐに遼東へ伝令を送れ。正確な情報を調べよ」
「承知しました」


安市城に高句麗の旗を持った騎馬兵数人が入る。


テ・ジュンサン将軍の会議。
「(入ってくる)将軍、将軍」
テ・ジュンサン「唐軍はどうなった?」
「敵は今、新城へ向かっています」
「安市城でも遼東城でもなく新城へか?」
「さようです」
「憂慮していた事が起きた」
「憂慮していた事? 新城は遼東でも屈指の要塞です」
「だが、今は、穏健派と強硬派に分かれ、大いに揉めているのだ」
「では、敵が内紛を利用するとでも?」
「唐の奴らは我らの弱点を隅々まで知っておる。奴らの先鋒がナムセンだからだ(一同びっくり)一時であれ、大莫離支だった者だ。遼東の防御線の状況や、各城の規模や軍馬状況などを、掌を見るように知っている」
フクスドル「野郎…」
テ・ジョヨン「新城が陥落されたら、周辺の城も危険です。黙って見ていられません」
「軍を集められる状況ではない。今としては、新城が持ちこたえてくれる事を願うしか…」


攻撃の映像。
「攻撃せよ」
西暦六六七年九月、唐の主力軍は遼東を正面攻撃したs。そしてついに内部分裂を利用して、遼東の要の一つ新城占領に成功した。新城の陥落後、周辺の十六の城も相次いで陥落した。遼東の西の防御線が崩れたのであった。そして、翌年の西暦六六八年二月、唐の大ソウ管イジョクは、ソリンギを先鋒とし、高句麗の北方要衝地、扶余城を攻撃させた。高句麗西部の兵站基地だった扶余城が陥落すると、周辺の四十余りの城は唐に一斉に降伏した。難攻不落だった遼東が崩れると、高句麗は急激に押され始めた。そして、その立役者は高句麗を熟知していたヨン・ナムセンだった。



ポジャン王「ヨン・ナムセンだと? 遼東を陥落させたのが、ナムセンか?」
「はい、裏切り者のヨン・ナムセンです」
「そんな…降伏の話を聞いて、まさかと思ったが…ブ大臣はどこだ?」
ケジン「それが具合が悪いらしく…」
「和睦で戦を避けると豪語したのだ。この場を避けたとて何になる?」
「避けたのでは…」
「聞きたくない。状況が急変しているのだ。文武臣下全員で敵を防ぐ対策を立てよ」

ブ・ギウォンが部屋の中をうろうろ歩いている。
ヤン将軍の声「そなたこそ現実を見据えるが良い」
(回想)
ヤン将軍「高句麗の真の平和は誰にも頼らず、高句麗の民が一つになった時にだけ得られる」
「それは将軍の考えです。外交でも十分に平和は守れます」
「高句麗の平和など唐の眼中にはない。彼らの望みは高句麗の滅亡だけだ。この和睦も高句麗を滅ぼす手段だと分からぬか」
(回想終わり)

ブ・ギウォンは目をつぶってため息をつく。
「ヨクサル様、シン・ソンです」
「入れ。どうなった? ヨンジュへ行った使者はまだか? 弟がヨンジュにいるのだろう? 一体どういうことか詳細に話せ」
シン・ソン「それが私にも分かりません」
「分からぬだと? ヤン将軍暗殺を仕向けたのはそなたの弟だ」
「遙か遠くで消息を絶った者です。今から態度を変えては自らの非を認める事になります。それも国を滅亡の危機に陥れたのです。なすべき事は最後まで唐との和睦を成就させる事」
「この期に及んでまだ和睦の主張を?」
「遼東が崩れました。この戦には決して勝てません。ヨクサル様もご存じでしょう? 力で防げねば、その時はヨクサル様の出番です。対話による交渉こそ、国を守る最後の手段となるでしょう」
「そのとおりだ。この身が砕けようとも、奴らを必ず防いでみせる」


安市城。
傷ついた兵士や逃げてきた民。
それを見ているテ・ジョヨン、コルサビウ、フクスドル、コム・モジャム。
フクスドル「すべてはナムセンのせいだ。もっと早く殺しておけば…」
コルサビウ「逃がしたのはお前だぞ」
「(兜を取り頭を叩く)石頭め、空っぽのくせに、兜なんかかぶって…この石頭」
テ・ジョヨンの悲痛な顔。

夜、テ・ジュンサンの部屋。
テ・ジュンサンに頭を下げて座るテ・ジョヨン。
「避難民はどうした?」
「収容所が足りません。しかも城内の食料も不足しています」
「予想通りなら、敵は平壌へ向かうだろう」
「敵の南下を座視することはできません」
「コ将軍が残りの兵を糾合している。兵が集まり次第平壌を救いに行かねばならん」
「では…遼東は…」
「今は遼東どころではない。平壌に危機が訪れたのだ」
「どういう事です?」
「じきに新羅が代々出来名攻撃を始める。今頃攻撃編成を終えたはず。新羅のキム・ユシンが総司令だろう。山また山か。一体、高句麗をいかに守るべきか…」


新城。
ソリンギ「どういう意味だ。安市城はじめ遼東はまだ健在だ。奴らをそのままにするのですか?」
ナムセン「南下しても奴らはもう脅威ではない」
イジョク「ナムセン将軍の言うとおり。しかも新羅軍が我らを待っている。早く平壌に攻め入り、新羅と挟撃するのだ」
「大ソウ管、大ソウ管は先帝の屈辱をお忘れですか? このままでは帰れません。安市城を焼き払い、ヤン・マンチュンの遺体を切り刻むまでは絶対に帰れません」
「今は些細な事より全体が大事だ。感情に振り回されるのは、小者のすることですぞ」
「な…小者だと? ヨン将軍よ、私が小者だと言うのか?」
「やめるのだ」
「大ソウ管、私を小者と言ったのですぞ」
「ソル将軍」
「まったく忌々しい」
「我らとて安市城に恨みはあるが、今は高句麗を滅ぼす絶好の機会だ」
「大ソウ管、戦況は存じています。だが今を逃したら、先帝の恨みをいつ晴らすのです?。重ねて申し上げます。私はこのままでは帰れません」
「では、残って安市城を攻め落としてくるか?」
「何とおっしゃいました?」
「そなたに軍をやろう。安市城を落とせるか?」
「国のために去る20年間復讐だけを考えてきました。あの安市城を跡形もなく消し去ります」
ナムセン「私も残ります。安市城は、今までの新城や扶余城とはまったく違う。安市城を熟知する私が行くべきだ」
イジョクうなずく。


廊下を歩いていくソリンギを追いかけるポンペ。
「将軍、将軍、何であんな事を?」
「何がだ? 100万の大軍でも失敗しました。安市城を落とすだなんて」
「私にできぬと思うのか?」
「はい、将軍」
「やれやれ…、こら、ヤン・マンチュンも死んだのだぞ」
「今の城主はテ・ジュンサンです」
「つまり、私が奴に劣ると言うのか?」
「万が一、攻撃が失敗したら、今までの功が無駄になります。輝かしい未来が目前なのになぜ?」
「こらこら」
「今、契丹族も不満だらけです。まだ間に合い…」
「貴様、説教はよせ」
「将軍」
「出世も良いが、甘い汁ばかりは吸えんのだ。亡き先帝陛下の屈辱をそそぎ、魂を慰めねばならん。世には苦いと知っていても、口にすべきものがある。ところで、あいつずいぶん偉くなりおった。事ある毎に文句を言って、今度は私について来るだと? まったく…」


シン・ホンとナムセン。
シン・ホン「どうしたのですか? 安市城に留まっては、功を立てるのは大変です。本隊に合流するとおっしゃいませ」
ナムセン「安市城は決して唐に奪われたくない。ソリンギが攻めたら、安市城には何も残るまい。後日唐を排除するには、安市城の力が必要だ」
「ソリンギは簡単に諦めません。それより大変なのは、安市城を味方につける事です。できますか? 安市城を説得する自信は?」
「私の真心を知れば、皆従うだろう」
「時間がありません。唐の本軍が平壌に着く前に、終わらせるべきです」
「そうだろう、平壌城ももう終わりか。その光景をどうして目にできようか」



ポジャン王とスギョン姫。
スギョン姫「新羅軍の動きが不穏だとか。漢城以南は遼東以上に平壌の手が及ばぬ、今のような戦時に辺境の警戒を怠ってはならぬ」
「陛下、大莫離支です」
「中へ通せ」
ナムゴンが、平壌城の武将を連れて入ってくる。
「陛下、唐の本軍が南下し始めました。じきに鴨緑江(アムロクコウ)を渡るはず。主力部隊で敵を防ぎましょう」
「誰がその大任を?」
「それができるのは、チ将軍だけです」
「チ・ミョンチャンか」
チ・ミョンチャン「陛下、私は老躯の身ですが、生涯を戦場で送りました。最後に身命を捧げる機会を」
「チ将軍なら、賃も信用できる。どうか蛮族どもから、高句麗を守ってくれ」
「陛下、皇命に従います(ひざまずく)」
「遼東からの援軍は?」
「無理でしょう」
「何? どういうことだ?」
オン・サムン「陛下、唐の大ソウ管イジョクが、安市城へ大軍を送りました」
イ・ギウ「今頃、安市城も戦闘中のはずです」
スギョン「安市城が落ちたら、両党を支える基盤が崩れます。安市城だけは何としても守らねば」
王「困った、一体、なぜ高句麗がこうなったのか…」

安市城。
兵士や民が大勢逃げてくる。
コルサビウとフクスドルは横たわっている兵士の傷を手当てしている。
テ・ジョヨンは、女の子を布でくるんであげる。
「しっかり包まっていろ」
兵士の傷の手当てをするテ・ジョヨンにかけよる将軍。
「援軍だ、遼東から援軍が来た」

コ・サグ将軍一行を迎えるテ・ジュンサン将軍たち。
テ・ジュンサン将軍「ようこそ、将軍」
コ・サグ将軍「唐軍は?」
「チョビル山の陣営に下がりました」
「大したものだ、敵の猛攻を防ぎきるとは」
「これからが問題です。城内の食料はすべて底をつきました」
「兵は連れてきたが、食料は持参できなかった」
「敵将は誰だ?」
コム「ソリンギです」
「ソリンギ? 扶余城が陥落した時、先鋒だった武将か」
「それよりも、驚く事があります」
「驚く事だと?」
「ナムセンも一緒です」
「ナムセンが?」
「むしろ好都合です。裏切り者を消しましょう」
テ・ジョヨン「しかし誰よりも安市城を熟知しています。城内に食料がない事も知っているはず」
テ・ジュンサン「まだ姿を見せていないが、じきに彼が先鋒となるだろう」
「我らを知る者と戦うのか、簡単には勝てまい」


ソリンギが咳払いしながら、席に着く。
「(机を叩きながら)もう10日だぞ、10日。その間一日も休まず攻めた。なのに遼東を荒らしたこのソリンギの部隊が、なぜ一度たりとも彼らに勝てぬのだ」
ソン・マニョン「名不虚伝です」
名不虚伝:名はでたらめには伝わらないという事。
「いくら弱っていても、さすがは安市城です」
契丹部族長「正攻法だけでは無理でしょう」
ソリンギ「それはどういう意味だ?」
「我らも安市城の事は存じています。しかも敵の援軍まで来たのです」
チョリン「不用意に攻めては被害が増えます」
「戦いに来て、死を恐れるのか?」
ソン・マニョン「怒る場合ではありません。今は冷静にならねば」
「冷静も何も安市城は目前だぞ」
イ・ヘゴ「将軍、我が契丹の目的は、手柄を立てヨンジュを得る事です。なのに高句麗滅亡を目前にして、この安市城で時間を無駄にはできません」
「私はもう決めたのだ。あの安市城を必ず陥落してやる。シン・ホンよ」
「はい、将軍、そなたの主人はなぜ姿を見せぬ? 私を補佐しに来たのなら、とにかく顔を出すべきだ」


ナムセンの居場所に、ソリンギとポンペが来る。
ポンペ「ソリンギ将軍です」
ソリンギ「ヨン将軍」
ナムセン「何事です?」
「それで、安市城を潰す作戦は立てたのか?」
「最初から、私は安市城攻撃には反対した。まだ間に合う、本隊と合流なさい」
「あー、ポンペよ、しばらく下がれ」
「え…、私まで退けるとは…」
「いいから、下がっておれ」
ポンペ下がる。
「今から、腹を割って、単刀直入に言おう。私はどんな事をしてでも安市城を潰してやる。だがいざ交戦してみると、昔の悪夢が思い出されて耐えられんのだ。私を将軍にして下さった先帝や、あの日の惨めな敗北まで、恋しさや、悲痛さで、胸がどきどきして、とても我慢できん」


ヤン将軍の霊前。
テ・ジュンサンとテ・ジョヨンが座っている。
「ジョヨン、お前が生まれた頃、唐の皇帝李世民(イセミン)が、100万の大軍を率いて駐○山に来た事がある。当時はヤン将軍が健在で、私はただ命がけで、勇敢に戦うだけで良かった。だが今は、あの時の大軍より、城を守らねばという責任に、恐れを感じる」
「父上」
「将軍もそうだっただろう。だがこれほどの威圧感と恐れを、あの方は決して表にあらわさなかった」
「ヤン将軍は、民のために戦ったそうです。安市城で戦ったのは、他ならぬ民で民のために戦えと言いました。知りとうございます。あの時の戦いを、この小さな城がいかに100万を防いだのかを」
「あの時は、本当にすごかった。民の中でただ一人も、力を貸さぬ者はなかった。中には臨月の身で協力する妊婦もいたのだ」

(回想シーン)
テ・ジョヨンの母も臨月のおなかで土を運んでいる。
「急いでくれ」
土山の戦い。
はしごを登ってくる兵士を突き落とすテ・ジュンサン将軍。
テ・ジュンサン「皆殺しにしろ」
ソリンギ「雲梯(うんてい)をかけろ、城壁を上がれ」
城壁では、苛烈な戦い。
「登れ」
イジョク「土山から攻撃せよ、土山に登れ」
ヤン将軍「あと少しだ、土山が崩れるぞ。諦めるな」
コ・サゲ「城壁を越えさせるな」

唐の兵士が土山に登っていく。
ヤン将軍「今だ。水を流せ、土窟に流し込め」
水が流れ込み、ぎりぎりと音を立てて、土山が崩れ始める。
「土山が崩れる、土山が崩れ始めた。唐の大軍が崩れるぞ」
土山が崩れる様子をじっと見つめるヤン将軍。
イジョク「そんな…」
ソリンギ「後退しろ、皆後退しろ」
「退却せよ」


ソリンギ「多くの唐軍が土山の下敷きになって、生き埋めになった。まさに生き地獄だった。今でも兵士たちの叫び声が耳に残っている。私は安市城を陥落させ、骨に刻まれた多くの怨魂を慰めねばならん。ヨン将軍、私を助けてくれ。誰よりも安市城に詳しいではないか。いかにすれば城を落とせるか、どうか秘訣を教えてほしい」
「安市城は、兵も民も皆決死の覚悟で戦っている。決して砲車や雲梯などでは落ちぬ」
「だから、恥を忍んで方法を聞いておるのだ」
「助けてくれ」
「方法はない。すぐに撤退なさい。本隊に合流するのが上策だ」
「最後まで補佐を拒否するか(うなずく)よろしい。助けは要らぬ。安市城を必ず焼き払ってやる。その目でしかと見よ(立ち上がって出て行く)」

部屋でうろうろしているソリンギ。
イ・ヘゴ「将軍、お呼びですか」
「今日から、ヨン・ナムセンを監視するのだ。どう考えても不審な点が多い。そう…今は我らの味方だが、血は水より濃しと言う。高句麗の奴らは信用ならん。抜かりなく行うのだぞ」
「承知しました(出て行く)」
苦い顔のソリンギ。

シン・ホン「安市城へ行くのですか?」
ナムセン「ソリンギが戦列を整え次第、攻撃を始めるだろう。安市城の被害を抑えるべきだ」
「しかし、危険です」
「今夜、密かに行って来る」
「敢えて行くなら、私も参ります」


夜。
モゲが走ってイ・ヘゴのところへいく。
モゲ「副将」
イ・ヘゴ「どうだ?」
「間違いありません。ヨン将軍は安市城へ入りました」
「ただじゃおかねえ(刀を抜こうとする)」

テ・ジョヨンたちが走る。
ヨン・ナムセンとシン・ホンが馬に乗っている。
ナムセン「元気そうだな。城主のテ将軍に会いに来た」

部屋の中。
テ将軍に挨拶するナムセン。
「お久しぶりです」
テ・ジュンサン「何用で来られた?」
「ヤン将軍に会わせて頂きたい」
コルサビウ「とんでもない、よくもそんな事が言えるな。将軍に会わせてほしい。御堂へ案内してくれ」

ヤン将軍の御堂で、何回もひざまずいて挨拶するヨン・ナムセン。
テ将軍とテ・ジョヨンがそばで見ている。
声「少なくとも貴様は」
(回想)ヤン将軍「亡き父の遺志を継ぐと思っていた。ゲソムンは最後までお前を気にかけていた。なのに、この手でお前を捕らえるとは。お前だけでなく、私も死んで我が友に顔向けできん。一体なぜ、こうなってしまったのだ」
(回想終わり)
涙ぐむナムセン。
ナムセンの声「将軍に、私の心をお見せできると思いました。でもその日を待たず、こうも早く逝かれるとは。生前に尽くせなかった私を、お許し下さい。死にゆく高句麗を、私がいかに立て直すか、見守っていて下さい」
テ・ジョヨンが不審そうな顔。

ソリンギ「何? ナムセンが安市城へ?」
イ・ヘゴ「確かに城に入るのをこの目で見ました」
「まさか、奴が我らを…」
ポンペ「今、高句麗は風前の灯です。こんな時に裏切るのは無理です」
「一体、何を考えているのか…手柄を立てておきながら、今になって我らを裏切るはずはなかろうに」

テ・ジョヨンとシン・ホンが立っている。
テ・ジュンサン「早く申されよ。話とは一体何だ?」
ナムセン「もう7年もひどい飢饉が続いている。食料もない上に、ヤン将軍亡き後、軍の士気はどん底だ」
「心配しに来たのなら、帰られよ。我らは血一滴に至るまで流す覚悟だ」
「無駄な血は流すな。私に高句麗を救う妙案がある」
「国を乱しておいて妙案だと? でたらめを言うな」
「唐軍については、誰よりもよく知っている。今の兵力では到底この戦に勝てない。城門を開けて、唐に降伏するのだ」
「(テーブルを叩く)一体何を申すのだ」
「安市城まで唐に奪われたら、もう国を取り戻せぬ」
「その口を閉じぬか。すべて誰のせいだか忘れたか」
「私は、国を潰したブ大臣らを一掃する。その後で、折を見て唐を追い出す。よろしいか。唐の力を借りて奸臣を消し、狩りの後で猟犬を食うのだ。菟死狗烹だ。高句麗を救う道はこれしかない。よく考えてほしい」
「一考の価値もない。この安市城は高句麗と命運を共にする」
「テ・ジュンサン将軍」
「貴様(コ・サゲ将軍たちが入ってくる)何をしておる。この者の首をはねろ」
「なぜ分からぬ、私を助ければ高句麗は助かる」
「早く連れ出せ」
「はい」「やめよ。今回だけは見逃す。だがこの次はないぞ」
「テ将軍、この機を逃しては駄目だ。連れて行け」
「はい」
「将軍、テ将軍、将軍」
テ将軍、立ち上がる。

テ・ジョヨンとコルサビウたちが、夜道をナムセンとシン・ホンを送っていく。
その前に立ちふさがるフクスドル。
「フクスドル」
「こん畜生め。逆賊をこのまま帰すのか?」
テ・ジョヨン「何を言う?」
「俺が殺るべきだった。まさかと思ったが、唐の将軍となり来るとは、もう死んでくれ、俺に殺されてくれ(剣を振り上げる)」
コルサビウが止める。
ナムセン「(ジョヨンに)私に時間をくれ。お前なら分かるはずだ、最後まで聞いてくれ」
テ・ジョヨンはうなずき、先に立ってナムセンと行く。

部屋の中に、ナムセンとジョヨン。
「お前は子供の頃から一緒だった。お前は私が国を守りたがっている事を知っているはず」
「唐の皇帝に忠誠を誓ったとか」
「国を救うためなら、私は何でもやる。ジョヨン、唐の皇帝が私に約束した。高句麗を滅ぼせば、その統治は私に任せると。その日を待とう。そして私と共に唐を追い出すのだ。いいか? よく考えろ。今イジョク大ソウ管の本隊が平壌に進軍中だ。新羅のキム・ユシン軍まで来たら、朝廷の無能な輩は一日も耐えられん。これが国を救う唯一の道だ。テ将軍を説得してくれ」
「だんな様の言う方法は、本当に高句麗のためですか? 国や民のための物ですか? だんな様は誰よりも高句麗を思っておいでです。しかし、今なさっている事は民の望むものではありません。だんな様、まだ間に合います。唐を捨て高句麗へ戻るのです。だんな様は誰よりも唐を熟知しています。この戦で大きな戦力になります。高句麗へお戻り下さい」
「お前…私を説得する気か?」
「だんな様、亡きお父上を考えて下さい。大莫離支は…」
「やめろ、もういい。何と言われようと、自分のやり方を信じる」
「ですが、もしだんな様が唐の奴らに騙されているのなら、高句麗の歴史上最低の愚か者として残るでしょう
「もちろん、それも有り得る。だが成功したら高句麗の歴史は万年にもなり得るのだ。お前はお前のやり方でいけ。私が正しかったと知った時、私を補佐するがよい。その時のために、安市城は残しておく」
ナムセンは立ち上がり去る。

馬に乗っていくナムセンとシン・ホン。
ナムセンの顔。
ジョヨンの声「だんな様が、唐の奴らに騙されているのなら、高句麗の歴史上最低の愚か者として残るでしょう」
シン・ホン「だんな様、大丈夫ですか?」
ナムセン我に返る。
「安市城で聞きましたが、イジョク大ソウ管が平壌で大敗したそうです」
「本当か? 間違いありません。ところで駐○山では我らの不在に気づいたはず」

高句麗会議。
「チ将軍がやりましたな」
「さようです」
「見送ったか?」
「はい」
コム「今朗報が届いた。チ将軍がイジョクの大軍を迎撃し、大勝したのだ」
「唐軍は劔山城で足止めされている。チ将軍が大任を果たした」
嬉しそうなジョヨン。

ソリンギが歩き回っている。
「えへん、やれやれまったく…、えへん。何一つうまく行っておらん。我らは安市城に手詰まり、イジョク大ソウ管は、その…誰だ?」
「チ・ミョンチャンです」
「そうだ、そいつだ、ヨン・ゲソムンでもあるまいし…何て不運なんだ」
「安市城へ行ったヨン将軍が戻りました」
「そうか」
「イ・ヘゴ将軍が連れてきます」
「今すぐに、諸将軍を集めろ」
「はい」「ナムセン…ヨン・ナムセンめ…」

大勢が座っている会議室。
ナムセンが連れてこられる。
ソリンギ「今から、決して嘘を申すな。安市城へ行って、奴らと何をした? 一体、どんな機密を教えた?」
「安市城へ行ったのは、降伏を勧めるためだ」
「何? 降伏を勧めた?」
「それと、機密漏洩ではなく、敵情を見てきたのだ。裏切るつもりなら、この昼日中に戻りはしまい」
「安市城の様子は?」
「やはり、攻撃は諦めた方がよい」
契丹部族長がソリンギの顔を見る。
「諦める?」
「高句麗は滅ぼせても、安市城を落とすのは無理だ」
「安市城ではなく私を降伏させる気か?」
「忠心から言ったまで。民を無駄死にさせるな」
「皆聞け。夜が明け次第、あの安市城を総攻撃するぞ。そして、その先鋒をヨン将軍に任せる」
「断る」
「命令に背く気か?」
「命令される筋合いはない」
「何?」
「これ以上、将軍が負け続けるのを座視できん。能力がないなら。指揮権を私に任せられよ」
「何? (そばに飾ってある剣を抜いて)貴様、指揮権だと?」
「何…、指揮権だあ? ナムセン、おのれナムセンめ」

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